中庭には馬番が立っていました。
「姫様の馬はあちらでございます」
シオン姫はよく目を凝らして中庭を見渡すと、緑の木々の間から、全身に太陽の光をうけて真珠のように輝く真っ白な馬を見つけました。

「なんて美しい馬なのかしら」そう思った瞬間、シオン姫は思わずその馬に向かって、走り出していました。

シオン姫は、美しく輝く白馬に向かってこういいました。
「初めまして。私の名前はシオンよ」


そして、そっとその馬の横腹を撫でながら、「あなたは素敵ね!なんてすべらかで白く輝いているのかしら…。お願い、私と一緒に『この国で一番美しいもの』を探しに行ってくれる?」

白い馬はシオン姫の瞳をじっと見ると、うれしそうに頭を上下に振りました。
シオン姫は、にっこり微笑むと、用意してあった鞍をその白馬にのせました。勢いよく地面を蹴り上げ、シオン姫は白馬の背中に乗ると、その美しいたてがみにキスをしました。


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