ふたりの前にシオン姫は進み出てこう言いました。「お父さま、お母さま、私は国一番の美しいものを探しに行きたいのです」すると王妃がびっくりして言いました。
「シオン姫、真珠ならすぐに用意できますよ。後はあなたのドレスのことだけですね」
「ちがいます。“国一番の美しいもの”とは宝物のことではありません。お母様もルーマー王子のうわさはご存じでしょう?」
「ほほう。シオン姫、なぜお前はルーマー王子のうわさが関係あると思うのか」

ラメール国王がたずねます。
「確か差出人はサン王国の大臣ということになっていますが」シオン姫はにっこり微笑むと「サン国王様がいちばん喜ぶものは国一番美しいもの、これだけの文章でそれが宝物と考えるのは間違っていると思います。」「それではルーマー王子の考えたこの作戦には勝てませんわ!」
「ルーマー王子の作戦?」ラメール国王は身を乗り出してシオン姫に聞きました。
「なぜルーマー王子の考えだというのだ?」

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