シオン姫はサン国王のグリーンに輝く瞳を見つめて言いました。
「国王様は先程から、この広間から見える景色を、美しいと思ってご覧になっているようでした。国王様がお求めになられたもの―“いちばん美しいもの”は美しいものを、美しいと感じる心です。その心を国王様はもうお持ちです。ですから差し上げるものは必要ないと思いました」
シオン姫は、白馬をそっとなでながら言いました。
「ですから私は、王様への贈り物にと、私の素晴らしい宝物をお見せしたいのです。

この白馬に乗って風のように草原をぬけて、輝く海岸まで走りぬける時に感じる風をぜひ国王様に見ていただきたく、白馬を連れて参りました」

サン国王は、うやうやしくシオン姫の手にキスをして言いました。
「素晴らしい贈り物をありがとう、シオン姫。あなたからの贈り物はまさしく私が求めていたものでした。あなたからの贈り物を喜んで受け取りたいのだが…」
サン国王は、楽しそうに微笑みながらシオン姫に言いました。


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