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「私は、国王様の求めておられる“美しいもの”が何なのか、わかりませんでした。私は私のお城にある高い塔の上から見る景色がいちばん美しいと思っていましたし、私の世話をしてくれているレイク夫人は真珠が美しいと言いました。“一番美しいもの”は人それぞれではないのかと思い、とりあえずこの白馬に乗って、“美しいもの”を探しに出かけたのです」
「ほう、それで」
「初めは羊飼いに会いました。
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かれは自分のいる草原が一番美しいと言いました。一緒に草原の中に立っていると、海の中にいるような不思議な感覚に包まれ、とても幸せな気持ちになりました…。その後、夜の森に入りました。夜の森には“美しいもの”はたくさんありました。でもそのほとんどが目には見えにくいものでしたがとても神秘的な雰囲気でした。それから私は森の中で小さな兄妹に出会い、ふたりの姿を見ているうちに、私にはいつも優しい三つ年上の兄を思い出しました。小さな妹を思いやる心が焚き火より心を暖かくしてくれました」 |
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