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「この子は我家の大事な跡取り息子なのですよ!ただの風邪と言っても、有名な先生に診ていただかなければ安心できませんわ!お金ならいくらでもお支払いしますから!」
その言葉を聞いて背の高い医者はため息をつきながら言いました。
「この子達の母親はとても重い病気なのです。どうしても急いで戻らなければならないのです!」
そう言い終わると背の高い医者は、ぼう然としている薄桃色のドレスの夫人にくるりと背を向けて、さっさと馬車に乗り込みました。
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兄妹は馬車に揺られながら背の高い医者の顔を見つめていました。
男の子は小さな声で言いました。
「先生、ほんとにお屋敷の子の病気はもう平気なの…?それに僕…、さっきのお屋敷の人みたいに先生にたくさんお金払えない…」 |
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