「私たちはあなたを訪ねてここまで来たのです」
シオン姫は言いました。
男の子が続けて言いました。
「母さんが病気なんです!今、先生の診療所の近くの宿屋にいるんです!」「僕たちと一緒に南の港町まで戻って下さい!」
男の子はすがるように言いました。
女の子は泣きながら背の高い医者の上着を引っ張りました。
「君たちのお母さんの病気はすごく悪いのだね…。すまなかったね、こんな遠くまで…」
そう言って泣き出してしまった女の子を優しく抱きしめました。
「用意をしてくるから、門の外で待ってておくれ」
そう言って背の高い医者は屋敷の中に戻っていきました。
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