そして門の内側から門を開けました。赤毛の少年はシオン姫に笑いながら言いました。
「君が僕たちと一緒に鉄柵を乗り越えてくるなんて思わなかった」
集まってきた人たちを門の外に残して、屋敷の入口に行きました。シオン姫はドアをどんどん、と叩きました。誰も出てこないので、今度は思いきり叫びながらさらに強く叩きました。
すると屋敷の入口の扉がゆっくりと開き、中から背の高い青年が顔を出しました。
「何でしょうか?」

「もしかして、あなたはこの屋敷のご主人ですか?」
その言葉を聞いて青年は笑いながら答えました。「いやいや、私はこの家に往診に来た医者です、家の人は皆まだ休んでいますよ」

back index next

Copyright (C) TYKK 2000. All Rights Reserved.