「お父さん、お部屋はどちらですか?」背の高い医者は馬車から急いで大きなかばんをとってくると、兄妹の父親に聞きました。
「すいません、こちらです」
そう言って宿屋の二階にある部屋に案内しました。
ドアを開けると女の子はベットの側に走り寄って言いました。
「母さん、お医者様連れてきたよ」
「まあ、ありがとう…」
そう言いながら女の子を抱きしめ涙を流していました。
「さあ、診察しましょう」

父親は疲れきっていた兄妹をすぐ横の部屋にのベットに寝かせると、ドアの外に立っていたシオン姫に向かって深々と頭を下げました。
「本当に何と言っていいかわかりません。子供達が帰ってこなかったら…と思うだけで身も凍る思いでした。息子に聞きました。あなたがあの子達を見つけて下さらなかったら、暗い森の中でどうなっていたか…」
「いいえ、お兄さんはとても立派に小さな妹さんを守っていましたよ」
シオン姫は兄妹の父親に、あの時の二人の話をしました。

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